スリングショットの訓練
効果的なトレーニングとは?

 
 例えばこれが国内に公式ルールのある話なら、そのルールに則ったトレーニングがあるでしょう。
 が……ありません、現状でスリングショットは狩りに使えるオモチャ以外のなんでもないのです。
 
 仕方がありませんで、スポーツシューティングとしては本場USAでの競技スタイルをお手本とし
 ハンティングはやりませんでなんとも言えませんが、スリングショットフォーラムの意見も邦訳しながら
 効果的な練習方法を模索しましょう。



  @フロムUSAなスリングショットトーナメント

 ここで、本場ではどんなトーナメントがあったのかを調べてみました。

   ・SUMMER NATIONALS SLINGSHOT TOURNAMENT
     開催時期:1976-1986
     主催:National Catapultry Association

   ・SAUNDERS U. S. OPEN INDOOR SLINGSHOT TOURNAMENT
     開催時期:1973-1985?
     主催:Saunders Archery

   ・WORLD CHAMPIONSHIP SLINGSHOT TOURNAMENT
     開催時期:1972-1981?
     主催:Dimmit County 4-H Clubs

   ・WSDR INTERNATIONAL SLINGSHOT TOURNAMENT
     開催時期:1980-1983
     主催:WSDR Radio

   ・WINTER INDOOR CATAPULTRY TOURNAMENT
     開催時期:1981
     主催:Illinois Catapultry Association

   ・TOULON 5TH AND 6TH GRADE SLINGSHOT TOURNAMENT
     開催時期:1981-1984
     主催:Kent Shepard

   ・WXFW'S "PRIDE OF THE FOX" SLINGSHOT TOURNAMENT
     開催時期:1984
     主催:Gamel Broadcasting Inc.

   ・WYANET FESTIVAL SLINGSHOT TOURNAMENT
     開催時期:1983
     主催:Wyanet Festival

   ・WESTERN MUSEUM SLINGSHOT TOURNAMENT
     開催時期:1983
     主催:Western Illinois University Museum


 といった感じですが、この資料だけで見ると、なんか向こうでも1980年代にスリングショットブーム終わってるような…
 もう一つ、この1980年代というのがネックで、ネットが普及していない時代のためか……
 上記のトーナメントに関するルール等の詳しい情報が見つかりません。
 
 仕方なしにスリングショットフォーラムでトーナメントの情報を集めた所、細々とは続いているようです。

 2007年のSummer Nationals Slingshot Tournamentの様子をゲットしました。
 それがギャラリーにある

 これです。
 手前で物凄く嬉しそうにスリングショットを構えているのが
 USAスリングショットフォーラムの常連、Flatband氏でありました。
 
 エキサイト翻訳を駆使しながら、彼が述べているスリングショットトーナメントのルールを解読してみましょう。


 ……

 すみません、よくわかりませんでした!
 ただ、10m・20m・30mという距離が提示された事(どの距離でやったのかはわかりませんが)
 上記の写真の的を見るに、全ての距離に的があるわけではないということ。
 10メートルの距離から25発撃って一番ポイントが高い人に100ドルが贈呈された事
 Trumark社が主催である事……などなど。

 で、ここに書き込みをしていたケント・シェパード氏のスリングショットのHPから
 「2008年の6月27〜28日に、夏のトーナメントをやりますよ」
 という記述が!
 今年じゃないすか!

 参照した所、二つの競技があり
 一つは10mの距離から直径10cmの的を射抜く競技スタイル
 もう一つは野ウサギなどを狩るハンティングのようです。
 尚、雰囲気を楽しむため全員カウボーイのルックスが望ましい、という事です。
 

 ここにきて、ようやっと
 「10mの距離から、直径10cmの的を狙う」
 というルールらしいルールが見えてきましたが。

 ……これ、全米統一ルールかと言われるとギモンです。
 ちょっと個人主催っぽいんで、規模も大きくはないように見えますし。
 米国でもスリングショットは日本よりは根付いているというだけで、まだマイナースポーツ止まりらしいですので

 ともあれ、10m!
 明確な数字が出てきました。

 実はこの10m、これから語りますが…
 スリングショットにとって非常に有益な距離なのです。


  Aハンティングに有効な距離

 上ではアメリカの競技においての距離を調べました。
 次はハンティングに有効な距離です。
 ハンティングに有効な距離、端的に言うと獲物を仕留められる距離……となりますか。
 こちらももう一つのスリングショットフォーラムにて、それを取り扱うトピックがあったので邦訳した所。



 ――スリングショットで獲物を確実に仕留められる距離は、6m以下だと思いますが…皆さんはどうですか?
  byメルヒオール氏

 ――大きいサイズの弾(石切り場を意味するquarryの訳ですが、あってるかな?)なら、10ヤード(約9m)ですかね。
  byヴィック氏

 ――私もヴィック氏の見解と同じですね、スリングは50ヤード(約45m)飛びますが、仕留めるのには近い距離にいなくてはいけません。
  byテックス氏

 ――私も10〜15mという所です。
  byシャンハイ・デーヴ氏

 ――私は16〜17フィート(約5〜6m)に居る兎を狙ったのですが、あと1フィート遠ければよかった! 気がついて、逃げてしまったんです。
    この逃げる距離も計算に入れないといけませんね。
    次はその距離も考えて狙うつもりです。
  byアカエイ(stingray)氏

 ――(長文なので正確な訳は難しいですが、テックス氏が50年前に飼っていたウサギとガチョウの思い出を語っている…多分、余談だと思います。 てか50年て!? 向こうではけっこう高齢の方もやってます。)

 ――(上記のデーヴ氏がウサギの生態について語っていると思われるが、エキサイトでは無理)

 ――(さらに上記のデーヴ氏の話に、先ほどの写真に出たフラットバンド氏が冗談らしき事を言っている)

 ――私は、弾によって差が出ると思いますが、ハンティングに有効な最大距離は8mだと思います。
  byサム・クリスティ氏

 ――サムさんへ
    普通に撃つなら8m、ヘッドショットなら10mから仕留められると思います。
  byヴィック氏



 だいたい、以上のような感じです。
 距離以外の部分の話は、信用しないで下さい!
  
 10m以下が適している。 という意見が多いですね。
 (しかしヤードとかフィートとか、単位がずいぶん特徴的です)
 上記のトーナメントがこのような意見に基づいているか否かはわかりませんが……10mという距離は、だいたい獲物を仕留める上で最大の距離のようです。

 よって自分は
 「練習をするなら10m〜15m」
 と以上の意見から決めております。

 もちろん、それ以上の距離でもそれ以下の距離でも、貴方がお好きなように!
 あくまで自分の訓練の目安にしか過ぎませんで。

 ただ、狩猟をやる方はこれらの意見を参考に10mを意識して練習すると良いかもしれません。


  B練習のアレコレ
 
 では、早速練習に入りましょう。
 一番難しいのは
 『練習ができる場所』を探す事です。

 貴方が都心にお住まいなら、ほぼ無理と言っても過言ではありません。
 箇条書きで練習に必要な場所の条件を挙げてみますと

  ・広く、かつ、整地されている(弾を回収する必要がある場合、草むらや砂地では見失いがち)
  ・あたりに建物や民家が無く、人がいない、車も通らない
  ・かといって人里離れすぎると熊やイノシシがいないか不安
  ・個人所有の土地ではない
  ・駐車する場所がある(車を保有している場合)

 田舎ですら条件が厳しいです!
 国内にスリングショット専門の射撃場とか、多分無いです。
 練習の場所については良識の範囲内で、ある程度妥協が必要でしょうね。
 
 
 そして、いざ練習へ!
 まずは標的と標的との距離を決めます。

 自分は的にペットボトルを使っています。
 できれば円形の的が好ましいのですが、スリングショットの威力に耐えられて、ボロボロになってもすぐ交換できて、かつコストと手間がかからない物体…が、思いつかないってだけの理由です!
 
 メジャーがあると正確に測れますが、ない場合は一歩50〜60センチメートルで計算すると大体の距離は測れます。
 ダイソーで10mのメジャーが売っているそうなので、これを購入しても良いかもしれません。

 次に考えるのが、はずれた弾の処理です。 
 何度か触れましたが、今鉛玉が環境に悪いと叫ばれているようで、我々もこれに習うべきでしょう。
 つまりスチール弾を使えば問題は解決……なんですがね、流石にだからって撃ったら撃ちっぱなしで帰るのは良心の呵責が…あと、できれば再利用してコストを浮かせたいですから。
 はずれた弾はできるだけ回収したい…

 そこで、自分はこんな装置を使っております。 

 説明するほどの物でもありませんが、ペットボトルの的と、外れた時に弾をはじき返してくれるブルーシートを一体化させたものです。
 これなら標的がただ置いてあるだけの時にある「標的に命中して倒れたから、一旦射撃を止めて標的を起こしに行く」必要はないですし
 よほど外さない限りは弾が四方に飛び散る事はほぼありません。
 構造的にも大したものではないし、車があれば持ち運びも苦ではありませんで。
 (もっとも、USAにはこれと同じコンセプトのちゃんとした商品がありますが、国内ではほぼ取り扱っておりません)
 あると便利です。
  


 ……だいたい以上が訓練に関して自分が行っている事、気がついた事です。
 もちろん、これが一番効果的な練習方法ではありません。
 読んで下さいました貴方が「いや、自分ならこうする」「ここはこうしたほうが良い」等、思ったことがあれば
 それを生かして自分なりの練習法を見つける事、その楽しさもスリングショットが『今』だからできる楽しみ方の一つです。
 
 ……んで、できれば自分にも
 効果的なトレーニングあったら、是非メールで教えて下さい!


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