スリングショットの歴史
  スリングショットはいかにしてスリングショットたりえるのか?


 わが国ではスリングショットというよりも、パチンコの愛称で知られるこの投石機自体の歴史は
 さして古いものではありません。

 この名前の由来になった、スリングと呼ばれる投石紐の歴史はとても古いのですが
 (それこそ、神話に出てくるダビデ王が使うぐらいに)
 我々の知っているパチンコの形になるまでには、有機化学の発展と合成ゴムの完成を待たねばなりません。

 今日日我々の知る天然ゴムが、形になったのはチャールズ・グッドイヤーの加硫法による弾性改良の発見以後…
 つまり1839年以降であります。
 
 
スリングショットの歴史も必然的に、ここから始まるのでしょう。
 もっとも、スリングショットの歴史において発祥などの詳しい資料は無いのですが
 その簡易な構造ゆえ、ゴムの存在を知った子供なら場所を問わず閃き、遊具として遊んだのは想像に難しくありません。

 それが今市販されている、スポーツシューティングや狩猟用の道具としての可能性を見出したのは
 西洋のハンティング用品を扱うメーカーで……もっとも古いメーカーは不明ですが、わが国でも流通しており愛用者が多い
 Saunders社、そしてTrumark社が古参のメーカーだそうです。
 
 もっとも、それがスリングショットと呼ばれる形になる前、米国においてはわが国の「パチンコ」に相当する
 「flip」という言葉があり、スリングショット前史として捕らえるならばその歴史は少なくとも一世紀前後であると思われます。
 
 参考にコチラ 

 親子2代にわたり、55年もの間パチンコでのハンティングを楽しんでいるアラバマ州の親子のインタビュー
 80歳のシム氏が子供の頃から〜という記述を見るに、1900年代にはもう存在していた模様。


 我々が持っている「スリングショット」はそれを狩りのために最適化、そして新素材を採用したもので
 仕組みはこの時代とほぼ変わっておりません。



 …さて、ここで加筆せねばならない事態が発生しました。
 サンダース社の新型ファルコンに、なんと
 「スリングショットの歴史」が記された小冊子が付属していたのです!

 …なんか、このコーナーの存在意義を否定された感が否めないですが
 めげずに英文を訳していきますです。


 ※1839
 Charles Goodyear's accidental discovery of a method to vulcanize rubber,lead to the development of the elastic rubber band.
 The perfect recovery material for slingshot bands.

 上記の通り、チャールズ・グッドイヤーによる偶然の加硫法によるゴムの弾性改良発見で、スリングショットのバンドに最適な材料が開発されました…だいたいこんな事が記してあります。


 ※1880年
 Orville Curtis filed for a patent on a catapult(or slingshot)which was made to shoot either pellets or arrows.
In the following decade,several patents were granted that had a pocket to contain or to shoot several small pellets at a time.
 …オーバル・カーティス氏が上記のゴムを使ったパチンコの前身たる、矢か弾が発射できるカタパルトの特許を出願した…模様です。
 後半は弾の特許がどうこう書いてありますがエキサイトの限界でした…


 ※1897年
 D.S.Green was issued a patent that used a coil spring between the rubber and the rigid arms to try to strengthen this connection.
 …D.S.グリーン氏がゴムとバネを使ったスリングショットの特許を得たようですが…
 見た事がないです…


 ※1920年
 J.Smithwich was granted the first patent for a folding slingshot.
 The handle was a hollow box in which the slingshot could be stored.
 …今日では当たり前となった折り畳みが可能なスリングショットの特許を最初に取得したのはJ.スミスウィッチ氏であり、この時のものは箱の中にアームが入っていて…展開するとそのアームの入っていた箱がそのままグリップとなる、というものだったようです。


 ※1929年
 E..S.smith also made a slingshot which would collapse and disappear into the hand.
 …E..S.スミス氏は折りたたんで手中に収まるタイプのものを開発しました…といった所でしょうか


 ※1947年
 W.C.wright patented the first wrist-braced slingshot.
 …W.C.ライト氏が今でも使われている、手首で固定するタイプのものを開発したようです。


 ※1951年
 K.Z.Huscar's ammunition centering pouch was patented.
 This pouch had a small hole in the back of the pouch for ammo alignment.
 …K.Z.Huscarが弾薬をセンターで保持する袋の特許をとりました。
 この袋には、弾薬整列のために袋の後部にわずかに窪みがありました。


 ※1953年
 A.J.Ticher patented the idea of slipping a latex slingshot band onto a rod end slightly larger than the inside of the band to partially solve the problem of band breakage.
 …A.J.Ticher氏はバンドが部分的に破損する問題を解決するには、アーム先端にゴムバンドよりも一回り大きいゴムを滑り止めとして固定する特許を取得、サンダース社のあの黒いチューブゴムがこれにあたるのでしょう。


 ※1954年
 The first practical wrist-braced slingshot was introduced by Saunders,along with a system of shooting quite similar to that used by archers.
With the wrist-Rocket pouch anchored on the side of the face and the handle held horizontal,the top prong becomes the sight and an aiming mechanism.
 …最初の実用的な手首で固定するタイプのスリングショットはサンダースによって紹介されました。
 弓の射手によって使用されるものと全く同様の射撃のシステムと共に。
 リストロケットの袋が表面の側面で据えつけられて、ハンドルが水平に支えられている状態で、最高歯(訳不明)は光景と照準装置になります。


 ※1976年
 Saunders self-centering pouch design became complete with the addition of two rows of centering beads.
 …サンダース社のパッチは突起の列を二列つけることにより、より完成度が高くなりました。
 いつの間にかサンダース社の歴史になりつつなってるけど、キニシナイ!

 
 ※1977年
 A solution to the band-to-frame connection problem wad devised by Saunders.
 A short piece of tubing was placed at the joint,preventing sharp bends in the band.
 …ええと、よくわかりません。
 またなんかサンダース社が画期的な発明によってなんかの問題を解決したとか書かれてます。


 ※1993年
 Saunders introduced the Double Eagle.
 The first multiple band slingshot.
 Using two bands on each side of the pouch the Double Eagle Shoots faster with less effort than conventional single band designs.
 …サンダース社は世界初のダブルチューブバンドを採用したダブルイーグルを発売しました。
 少ない力で従来の単チューブバンドより速いショットを可能とします。



 以上、サンダース・アーチェリー社の新型ファルコンについてきた取り扱い説明書より抜粋。
 特許とサンダース社の「その発想はなかったw」の歴史ですね。

 すでに開発から1世紀半ですか、思ったよりは歴史のあるものなんですねえ、スリングショットって。




 近年では、スリングショットをライフル型にして射程を延ばす方もいらっしゃるようです。
 このように、スリングショット自体の歴史はまだ弓・石弓に比べ浅いものですが、これからの歴史を作るのが
 我々である……ということを念頭に、スリングショットを楽しみましょう。


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